生体の細胞膜を構成しているリン脂質について

 


 血清脂質には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、脂肪酸があります。脂質は重要なエネルギーであり、約40兆個ある人間の細胞の中の生体膜(細胞膜、核膜、ミトコンドリア膜)の重要な構成成分です。

  最近の研究で、細胞の生体膜から色々なホルモン(脂質メディエーターと言う)が産生されることが明らかになりました。人間の細胞膜はリン脂質の2重膜構造になっており、リン脂質はレシチンとも言い、グリセリン、水となじむ(親水性)リン酸化合物(フォスフォコリン)と水をはじく(疎水性)脂肪酸からなっています。

  外敵や異物から生体を守るために生体膜リン脂質にプールされている脂肪酸を材料にして、エイコサノイドという脂質メディエーターを合成する機構が存在しております。

  グリーンランド島のエスキモー人と同じ島に住むデンマーク人との比較研究にて、総エネルギー摂取量の35から40%に相当する脂肪を摂取していながら、エスキモー人の方が虚血性心疾患は少なく、コレステロールは低値で、HDLコレステロールは逆に高い結果を得ました。エスキモー人は不飽和脂肪酸の1つであるEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含まれる海獣や魚を主食としていることが虚血性心疾患の発症が低いことが推測されました。

  その後の研究で、生体膜リン脂質から合成されるエイコサノイドが、生体膜を構成する脂肪酸の種類によって異なることが判明しました。こうした一連のアラキドン酸カスケードの研究に対してバリストレーム、ヴェイン、サムエルソンらに1982年度ノーベル生理学・医学賞が与えられました。



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