高血糖は生体にとって毒である

 


  血液中の血糖値は常に膵臓からのインスリン・ホルモンで調整を受けています。脳は他の臓器と異なり、そのエネルギー源はすべてブドウ糖のみで、しかも、脳はエネルギーの蓄積ができず、肝臓や筋肉に蓄積されたグリコーゲンをブドウ糖に変えて供給を受けています。
 
  一方、ブドウ糖は酸素の存在下で蛋白質と非酵素的反応(糖化といいます)を起こし、糖化蛋白を産生します。糖尿病の診断に使われるHbA1c(ヘモグロビンA1c)も赤血球のヘモグロビン蛋白が糖化作用(グリケーションと言います)を受けたものでHbA1cが多いことは高血糖による糖化蛋白が多く産生されていることを意味します。

  糖化蛋白の産生時に大量の活性酸素が発生し、この活性酸素が生体に及ぼす影響が糖尿病の本質的な病態です。最終の終末糖化産物(AGEと言います)は血管内皮細胞のレセプターと結合し、動脈硬化を促進させます。

  膵臓でインスリンを分泌しているβ(ベータ)細胞は活性酸素の障害を特に受けやすくインスリンの分泌の低下を来たし、真の糖尿病に移行します。空腹時血糖の正常の上限は110mg/dlまでですが、境界型糖尿病と言われる糖代謝異常の時期でもすでに糖尿病の病態は進行しています。早期診断と早期予防こそが重要です。
 
  HbA1cの正常値の上限は5.8%ですが、BMI>25、中性脂肪>150mg/dl、HDL<40mg/dl、高血圧>140/90mmHgの“死の四重奏”候補者には、HbA1c5.5%前後から要注意として生活習慣の見直しを指導しています。



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