新しい病態概念「心臓・血管イベントの連続性」について

 


 動脈硬化病変に始まり、高血圧→心肥大→心不全に陥り、心不全にて死亡する一連の病態には連続性があります。この病態の成因にはレニン・アンジオテンシン(RA)系が深く関与していることが最近の研究で明らかにされました。
 
  RA系調節機構は、血圧を一定に保つ「生体の恒常性」の主役で、血圧低下をキャッチした腎臓からレニンが分泌され、アンジオテンシンにて血圧を上げ、副腎皮質からアルドステロンを分泌し、腎臓でのナトリウムの再吸収を高めて循環血液量を増やす機構とされてていました。
 
  最近の研究では、アンジオテンシン受容体は腎臓のみならず血管、心筋細胞などにも存在していることが判明し、組織RA系といわれています。高血圧による心筋細胞の機械的な伸展にてアンジオテンシン受容体(AT1)は刺激を受け、心肥大や心筋繊維化を促進し、将来の心不全の前段階となります。アルドステロン受容体とともに心血管内分泌系として新しい学問展開が見られています。今後の高血圧治療の流れも、高血圧前段階からの臓器保護を目的とした降圧薬療法が注目されるようになります。
 
  動脈硬化病変の始まりは、一般に酸化ストレスによるものといわれ、喫煙、高脂血症、肥満などの生活習慣が原因です。激しい運度も生体が処理しきれない多量の活性酸素を生み出します。

  動脈硬化予防は、酸化ストレスの軽減であり、血管内細胞機能を温存することです。このためには、無理な運動は避け、脂肪を燃やす有酸素運動として脊椎ストレッチウォーキングを毎日の習慣とし、高齢になればなるほど脱水(特に夜間脱水)に気をつけることが誰でも実行できる予防の第一です。


Copyright (C) 2005 Hyogo Vitual Health Science Center