メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と脊椎ストレッチウォーキング

 


 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防には水分摂取と脊椎ストレッチウォーキングが基本習慣となる。

 
  メタボリックシンドロームの診断基準は、一般の健康診断により心臓突然死、心筋梗塞、脳卒中(アテローム性血栓症)を発症しやすいハイリスク対象者をスクリーニングする画期的な診断法です。
  一般健康診断でメタボリックシンドロームの指摘を受けた人は、まず、有酸素運動に心がけ、水分(深層水)を十分に取る生活習慣を実行するだけでアテローム性血栓症予防することができます。
  なにも恐れることはありません。 運動療法を指導できる循環器専門医の診察を受けることをお勧めします。



  人間が陸上で生きていく上で必須の基本的習慣の一つが、水を飲む習慣です。
  人間の身体の最大構成成分は体液(水分)であり、成人男子は60%、乳児は73%、高齢者は45%を占めています。心臓を中心とした血液循環ネットワークがあり、70兆を超える組織細胞の一個一個は、毛細血管網を介した体液の組織潅流を受けています。
  一個の細胞は、細胞膜により細胞内外の電解質の濃度バランス(膜平衡)が維持されており、細胞外電解質ではナトリウム、細胞内電解質ではカリウム、マグネシウムが大部分を占めています。
  陸上で生きていくために細胞環境を一定に維持する「生体の恒常性(ホメオスターシス)」機能が備わっています。
  その代表が、腎臓でのナトリウム保持機能であるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)です。カリウム、マグネシウムは一次的な調節機能はなく、ナトリウム保持機能を介して2次的に調節されています。
  人間を含め陸生動物は、カリウム、マグネシウムの摂取を果物、穀類から摂取することが可能であるが、食物からのナトリウムの摂取は陸上ではほとんど不可能です。こうしたことからナトリウム欠乏の環境での生体維持機能がナトリウム中心となったことは容易に理解できます。
  しかし、ナトリウム過剰摂取の現在の食生活では、むしろカリウム、マグネシウムの積極的な摂取が必要です。マグネシウム摂取方法として海洋深層水を推奨する所以です。
  もう一つの基本習慣が、人間だけが後天的に獲得した身体能力が直立二足歩行です。直立二足歩行は、生まれた時から先天的に備わったものではなく、人間の祖先である猿人が500万年から600万年前に獲得した能力で、親から子へ見よう見まねで伝承されたものです。
  直立二足歩行に必要な脊柱起立筋、大腰筋、腸骨筋、臀部筋は、後天的に直立歩行により鍛えられた筋肉です。現在の自動車社会では人間は歩行習慣が少なくなり、日常生活におけるエネルギー消費の減少のみならず、歩行のための筋肉は使われなければ廃用性萎縮をします。
  姿勢維持筋肉の衰えは、姿勢バランス機能の低下と併せて転倒の原因となります。 お腹を引き上げ、頭が天から吊り下げられているように背筋を伸ばし、膝を伸ばして踵から地に付ける脊椎ストレッチウォーキング法を姿勢維持のための筋肉トレーニングとして生活習慣病予防に推奨している所以です。
  まず、こうした人間が生きていく上で必要とされている基本的習慣を日常生活で実行することが、メタボリックシンドロームの予防、治療につながるものと考えます。



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